【事例1】社会福祉法人せんだん会 障害福祉サービス事業所 梨の木園(安来市)

地域に根を張り、安来産農産物にこだわった加工事業

平成6年に安来市特産の梨を使った梨エキス「梨のんの」を商品化。平成26年、JAしまねやすぎ地区本部からの提案を受けて、安来市特産のイチゴの一次加工を受託。ここで製造されたイチゴペーストは、JAを通じて地元等の菓子メーカーに供給され、安来市産にこだわったイチゴの加工商品開発、イチゴ生産振興と障がい者の就労機会拡大につながっている。

1. 障害福祉サービス事業所 梨の木園の概要

  • 所在地  :安来市飯梨町303-1
  • 定員と現状:就労継続支援B型事業 定員35名、登録者46名。 うち農産加工従事11名。

2. イチゴ加工作業受託概要

  • JAしまねやすぎ地区本部(以下JA)、安来市、安来市観光協会等による安来市のイチゴ生産振興を目的としたイチゴプランプロジェクトで、梨の木園の加工技術に着目され、JAから市内産イチゴの規格外品の一次加工の提案を受けてイチゴペースト製造に取り組む。
  • JAが市内の菓子組合等に販売し、安来市産イチゴを使った新商品開発が進んだ。また、道の駅「あらエッサ」等でイチゴ商品のPR活動が行われ、関係機関と一体となって安来市のイチゴ生産振興に寄与している。
  • 専門家の指導を受けて冷凍保存、イチゴの色保持技術改善し、実需者ニーズに応える。
  • JAと一次加工の受委託契約を結ぶことで、加工原料となる規格外のイチゴ供給と一次加工品の納入先が確保され、4月上旬から6月中旬にかけて安心して加工事業に取り組めている。
  • 加工作業
    6~7名が従事。病害果実を選別し、へたを取って加工原料とする。補助事業を利用し、スチームコンベクション等を整備。イチゴペーストは冷凍庫で保存し、随時JAに納品。
  • イチゴペースト生産概要図1 イチゴペースト製造工程 表1 イチゴペースト生産実績(kg)

    堅調な需要だったが、新型コロナウィルスの影響で菓子製造業者からの需要が減少。しかし、需要回復の見込みもあり令和4年に生産を再開した。

3.その他の主な農産加工活動

図2 主な農産加工活動

1) 「梨のんの」、「梨のんのあめ」

利用者の家族からの提案で、規格外品を加工した地元の梨農家の食文化にヒントを得て、梨を使った梨の濃縮エキスを製造。
飲み易さ、保存性など試行錯誤を重ね商品化に至る。原料の梨は、安来市産の梨を使用

図3 「梨のんの」 「梨のんの飴」

【図3 「梨のんの」 「梨のんの飴」】

2)梨の木園オリジナル菓子「ダッグワーズ」

上記イチゴペースト加工に伴い、当園オリジナルのイチゴを使った菓子を商品化した。

図4 ダッグワーズ

【図4 ダッグワーズ】

3) カラメルの受託生産

地元の酪農家が製造販売するプリンのカラメル生産を受託。 砂糖を丁寧に焦がして作る。

図5 カラメル製造

【図5 カラメル製造】

 

3.梨の木園の評価

  • 利用者には加工作業が好評で、地元産の農産物を加工して新しい商品が生まれ世の中で販売されているというものづくりの過程に関心を示し生産意欲が高くなっている。
    こうした地元の特産品を加工して地元に貢献できることは当園の基本理念に即した活動でもある。
  • イチゴの一次加工作業受託により、加工施設・機械の稼働率が向上した。
  • 農産加工事業は、売上拡大、工賃向上につながっている。

<資料>

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