施設内作業受託と施設外就労を組み合わせて地域特産物の生産振興に貢献
津和野町では、自然条件を活かして、わさび、タラの芽、栗の生産振興に取り組まれているが、生産者の高齢化、新規就農者の労働力不足が問題になっている。そこで、わさびの里では、平成30年から施設内作業受託と施設外就労を組み合わせて多くの利用者が町内農家等からの農作業を請け負い、中山間地域特産品の生産振興に貢献している。また、工賃向上につながるとともに町内業者との新たな連携事業化も芽生えている。
1. 就労継続支援B 型事業所わさびの里の概要
- 所在地 :鹿足郡津和野町池村1997番地1
- 定員と現状:就労支援B型事業 定員20名、登録者18名。 うち施設外就労参加8~9名。
2.農作業受託
1)ハウス栽培葉・花わさびの収穫と選別調整
農家や集落営農法人、(株)フロンティア日原山菜加工場(以下、山菜加工場)から作業受託。
2)加工用わさびの選別調整
茎、根茎、ガニ芽、白根と商品分類も多いが、だんだん慣れてきたことから、年々、委託農家が増え、令和4年は新規就農者等7名のわさび農家から作業を受託。作業で不明なことは、隣接する山菜加工場に指導を受けやすい地の利も強み。
3)栗拾い・皮むき
栗農家からの依頼を受け落ちた栗を拾い、農家に納品。
町内菓子業者から鬼皮、渋皮むきを施設内作業受託。きれいに丸い形にむく難易度の高い作業だが、女性中心に上手に行っている。
4)タラの駒木伏せこみ
けが防止のため駒木は農家が準備。その駒木を倒れないよう伏せ込み用コンテナに丁寧に並べる。棘があるので厚手のゴム手袋を着用。
一日で約15コンテナ伏せこむ。
【図9 栗の皮むき】
【図10 タラの駒木並べ】
3.わさびの里の評価
- 施設内作業では出来ないことが経験でき、経験することで一般就労の選択肢が増える。経験を重ねることで作業スピードもあがってきた。
- 自然の中、作業することで障がい者の精神面・体力面に良い影響を及ぼすとともにいつもと違う表情や能力等を発見できる。
- おおむね7~8月以外は農作業を受託できるようになった。しかし、天候の影響で急遽作業変更が生じる不安定さが課題の一つ。
- 地域との関わりが強まり、事業所が認知されてきた。その結果、新たに町内茶業者から共同でざら茶製造販売の相談があり、原料となるカワラケツメイの試験栽培から始める予定。
- 令和3年の平均工賃は、前年比120%となるなど、工賃向上につながっている。
<資料>
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